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8.原子力発電は核兵器廃絶を妨げている

原子力の最も有効な利用は軍事利用

 他のエネルギーと比べて原子力エネルギーが優れているのは10万分の1の重量の燃料で同等のエネルギーを内臓しているということにあります。このエネルギー密度が桁違いに大きいという利点をどうしても使わなければならない場合はあるのでしょうか。原子力発電は、燃料の輸送と備蓄が容易であるという理由しかないので、この利点を使わなくても大して困りません。放射性物質の崩壊熱を利用し、寿命が長い「原子力電池」は太陽から遠くて太陽電池が利用できない所への宇宙探査機で利用されてきました。アメリカのボイジャー宇宙探査機は1977年に打ち上げられ、太陽系の外側まで37年以上の飛行を続け、今でも観測データを送ってきています。さらに埋め込み型心臓ペースメーカーにも原子力電池が利用されています。このような長寿命電池は他の方法では実現できないので、原子力利用が有用です。非軍事目的の原子力船は世界で7隻建造されましたが、安全性と経済性が両立せずに、ロシアの原子力砕氷船3隻以外は廃棄されています。
 残念なことに、原子力エネルギーの特徴は軍事目的で有効利用されています。先ず「核兵器」が挙げられます。重量あたりの破壊力は通常兵器と比べて桁違いに大きいことはよく知られています。ミサイルに搭載する場合は弾頭の小型化にも有効です。2014年、世界全体の核弾頭保有数は16400発となっています。次に原子力艦船が挙げられます。原子力潜水艦は敵に見つからずに長距離・長時間潜航して軍事活動をすることに最適です。原子力空母は戦時下で燃料補給なしで長距離航行するために作られました。原子力艦船では原子力発電の安全性や経済性よりも戦争勝利が優先されることが、米ロ英仏中合わせて28隻もの原子力艦船が保有されている理由になります。

原子力発電と核兵器は表裏一体

 アメリカの原爆開発のマンハッタン計画はイギリス、フランスも協力して進められました。戦後アメリカは核兵器の拡散を恐れ、核兵器に関する軍事機密を独占しました。それに反発したイギリス、フランスは独自の核開発を開始しました。ソ連も冷戦を予想して戦争中からアメリカの核情報を入手してアメリカに遅れまいと核開発を始めました。ソ連の原爆開発が進んでいることを確認したアメリカは水素爆弾に核開発をエスカレートさせました。米ソだけでなく英仏でも原子力に関する情報は国家の最高機密であり、国会で審議することなく膨大な国家予算が核開発に投入されていました。関係する研究者は機密保持のために厳しく監視されていました。アメリカの意図に反して水素爆弾開発ではソ連に差を縮められたばかりでなく、ミサイル搭載可能な乾式水爆ではソ連に追い越されました。また原子力発電でもソ連とイギリスに遅れをとりました。核情報の機密を守れなかったアメリカは核保有国(米英ソ)間の核兵器拡大競争(垂直拡散)を止めること、さらにイギリス型でもソ連型でもなく、アメリカ型の原子力発電を普及させて核開発での主導権を維持するために「原子力平和利用」の推進を打ち出しました。アメリカとの原子力協定によって世界42カ国に研究用原子炉と濃縮ウラニウムが提供されてしまいました。

 アメリカの首脳は、原子力平和利用によって新たに核保有国が増える(水平拡散)問題を軽視していたようです。原爆の設計図と原爆用ウラニウム濃縮技術以外の全ての核機密情報が公開されました。濃縮ウラニウムしか使えない軽水炉を普及させ、濃縮ウラニウムを提供するが濃縮技術を秘密にすることで核兵器拡散を防げるという安易な思惑がありました。マンハッタン計画で科学者のリーダー的存在だったオッペンハイマーが当時の核拡散防止に関する報告書で「原子力エネルギーを平和目的で開発することと、爆弾のために開発することは多くの面で互換性があり、また相互に依存する部分も多い」(『原子力 その隠蔽された真実』18頁)という記述をして、原子力平和利用は核兵器拡散を引き起こすことを警告していました。その警告通りに、それまでの核保有国米英ソの他にフランス、中国が原爆を保有することを止められませんでした。この段階で核拡散防止条約が結ばれましたが、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮などが条約に参加せずに核兵器を保有することも止められませんでした。どの国でも核兵器開発は厳重な国家機密体制の下で進められました。イランは平和利用の名目で必要以上の濃縮度までウラニウムを濃縮する一方で兵器級プルトニウム生産のための重水炉の建設を進めています。原子爆弾の構造は事実上軍事機密ではありません。原爆製造の最大のバリアは兵器級のウラニウムかプルトニウムの入手ですが、原子力発電の存在が核物質入手を可能にしています。

 ウラニウムとそれからの派生元素プルトニウムを使う「ウラニウム燃料サイクル」は核兵器製造にも原子力発電にも使えます。これに対してトリウム232からの派生核種ウラニウム233を利用する「トリウム燃料サイクル」は、核兵器製造に使えないばかりではなく、原子力発電の安全性でも優れています。「平和のための原子力」はアメリカとの原子力協定に基づいてウラニウム燃料サイクルで進められました。トリウム燃料サイクルで推進していれば、このような核拡散は妨げられたと思われます。またフクシマの重大な原子炉事故も軽減できたかもしれません。

8−1図 原子力発電と原子爆弾との違い 『図面集2001』から引用

 この図は原子力発電と原子爆弾では使うウラニウムの濃縮度が違うことを示しています。原子力発電と原爆とは結びつかないと電力業界が主張しているように思われます。確かに原子力発電用のウラニウム燃料を使っても原子爆弾はできません。しかし原子力発電が軍事機密に属する核兵器開発の副産物であったという歴史的事実は消すことができません。原子力発電と核兵器開発とがどのように繋がるかを考えてみましょう。

ウラニウム濃縮の問題

8−2図 遠心分離法によるウラニウム濃縮 『図面集2001』から引用

 ウラニウム原爆は広島に使われました。マンハッタン計画で広島原爆用のウラニウム濃縮はガス拡散法であったために膨大な設備と電力が必要でした。原子炉用ウラニウムの濃縮技術は濃縮回数を増やせば核兵器級の高濃縮ウラニウム製造に結びつきますが、ウラニウム濃縮は国内発電量のかなりの部分を投入しなければならないので、秘密裏には作れないと思われていた時もありました。ところが冷戦解消後の核機密の流出などにより、遠心分離法で各ユニットを小型化できるのでそれほどの電力がなくても使えるようになりました。遠心分離ユニットは闇市場でも出回っていますのでテロリストでも濃縮ができます。イランはウラニウム型原子爆弾の開発から始めました。7000台もの遠心分離ユニットは闇市場から買ったのかもしれません。

原子炉でのプルトニウム生産

8−3図 改良沸騰水型軽水炉に装荷した核燃料中のウラニウム
とプルトニウム中の同位元素内訳が燃焼度に依存する例
http://www.nisa.meti.go.jp/shingikai/110/24/003/3-4.pdf から引用
 

 8−3図はウラニウム235が4%、ウラニウム238が96%装荷された核燃料が燃焼によってどのように変化していくかを示します。燃料のウラニウム235が燃焼して減っていきますが、一方でウラニウム238が中性子を吸収してから2回ベータ崩壊してプルトニウム239ができます。運転直後に生成されるプルトニウムは全てプルトニウム239ですが、燃焼を続けるとプルトニウム239が中性子の吸収を繰り返してより重いプルトニウム240、241、242等を生成します。またプルトニウム239と241は中性子吸収による核分裂に参加し熱エネルギーを発生します。プルトニウム240は半減期6600年でアルファ崩壊の他に僅かですが自発核分裂(中性子照射なしでも起こる、制御できない核分裂)を起こします。またウラニウム235からも中性子吸収を経由してプルトニウム238も生成されます。核燃料装荷後の運転時間が長いほど重たいプルトニウム同位元素の比率が上がることは簡単に理解できます。ここではプルトニウム239と240の比率の変化に注目してください。

 原子爆弾を量産するにはプルトニウム原爆のほうが有利です。プルトニウム原爆は長崎で使われました。プルトニウム製造原子炉で製造したプルトニウム中のプルトニウム240が自発核分裂を常にしています。これが意図しないうちに部分的核分裂を引き起こしてしまうので、ウラニウム型よりも爆弾の構造を工夫する必要があります。マンハッタン計画では爆縮型の原爆を2個作り、1個を爆縮確認のために砂漠で爆発させました。核保有国ではプルトニウム生産と発電とを兼ねた(重水または黒鉛減速型)原子炉を作ったこともありましたが、最終的にはプルトニウム生産専用原子炉で兵器級プルトニウムを生産します。水素爆弾の起爆に使われる原子爆弾はすべてプルトニウム原爆です。

 プルトニウム239が93%以上あれば「兵器級」プルトニウムと扱いますが、核燃料ウラニウム235の大半を燃焼させた発電用原子炉(軽水炉)からのプルトニウムはプルトニウム239比率が下がって「原子炉級」になります。またこのプルトニウムは放射能がウラニウムと比べて1万倍も強いので遠心分離法などでプルトニウム239を安全に濃縮することはできません。このことから「軽水炉からのプルトニウムではプルトニウム239の比率が低いので核兵器は作れない」という主張があります。これは原子力平和利用が核兵器を拡散してきたこと、これからも拡散させることを否定しようとする主張です。裏を返すと核廃絶と脱原発とは無縁であるという主張になりますので、ここで論破しておきます。

 8−3図から分かるように、軽水炉でも核燃料を低い燃焼度で(新燃料装荷後の数ヶ月の運転で)取り出して再処理すれば兵器級プルトニウムを抽出することができます。ただし日本の原発の運転状況はリアルタイムで公開されています。日本の原子力村の秘密体質からすれば、ごまかしは容易です。またごまかしなしでも高速増殖炉のブランケット部分の使用済み燃料からは兵器級のプルトニウムが回収できます。高速増殖炉「もんじゅ」は1年程度しか働きませんでしたが、先行した高速増殖炉「常陽」と合わせた運転実績から、兵器級プルトニウムを含む使用済み燃料の十分な量(原爆数発分)を蓄積しているはずです。

 また原子炉級プルトニウムを使った原子爆弾は大きさが必要になったり、威力が長崎原爆の数分の1に低下しますが、それでも核兵器として機能することに変わりはありません。現実に1962年にアメリカは原子炉級プルトニウムによる原子爆弾の地下爆発実験を行っています。爆発威力はTNT火薬換算で20キロトン以下でした。これは1977年に機密解除されて米国エネルギー省のホームページで公開されています。核保有国が原子炉級プルトニウムで原子爆弾を製造しないのはすでに保有している兵器級プルトニウムの方が便利だからです。

 原子炉級プルトニウム原爆は兵器級プルトニウムが手に入らない場合には十分あり得る選択肢です。3重水素も手に入れれば第8−4図の上半分のようなブースト型にして爆発威力を高めることができます。また原子炉級プルトニウムの方が兵器級プルトニウムよりも放射能が強いために、爆発させるのではなく、放射性物質をばら撒く爆弾という選択もあり得ます。

原子炉による3重水素生産と水素爆弾

 水素爆弾が原子爆弾より桁違いに大きい破壊力があるのは、1つの核融合反応が1つの核分裂反応よりも大きなエネルギーを出すからではありません。1つの反応では、核融合は核分裂の50分の1〜10分の1のエネルギーしか出しません。水がウラニウムより軽いので、同じ重量当たりで比べるエネルギーは3重水素と重水素との核融合の場合に原子爆弾と同程度になります。水素爆弾が原子爆弾より強力な理由は、原子爆弾での「臨界量」のような制約が水素爆弾にはないからです。水素爆弾の威力に原理的な制限はありません。水素爆弾の点火に原子爆弾が必要ですので、原子爆弾を保有しなければ水素爆弾を開発できません。原子爆弾を開発した核保有国はさらに水素爆弾を目指しました。核拡散防止条約で核保有国とされる米ロ英仏中の5カ国すべてが水素爆弾も保有しています。その水素爆弾に必要な3重水素は従来の核分裂原子炉にリチウムを入れておいて作ります。プルトニウム239生産と違って、発電用原子炉でも問題なく発電しながら副産物として3重水素を生産出来ます。

 水分子ではなくてリチウムとの化合物にすると水素爆弾が軽くなります。リチウム6に中性子を照射すると3重水素が生成されるので、3重水素がなくても、重水素とリチウム6との固体化合物「重水素化リチウム6」 2H6Li で水素爆弾の燃料に出来ます。液体の水を氷にして使った初期の「湿式」水爆と比べて重水素化リチウム6を使う「乾式」水爆は小型軽量化で有利です。この結果3重水素が不要になりそうですが、水素爆弾ばかりでなく原子爆弾にも3重水素は重要な役割を果たします。原子爆弾に少量の重水素と3重水素を追加するとその核融合からの高エネルギー中性子によって核分裂爆発の効率を上げることができます。そのような原爆を「ブースト爆弾」と呼びます。

8−4図 原子力潜水艦載中距離ミサイル「トライデント」の核弾頭
このページから引用

 左の図の水素爆弾の起爆剤となる原子爆弾がブースト型になっています。上半分が原子爆弾、下半分が水素爆弾です。原子爆弾部分の中心付近の黄色の部分(Tritium & Deuterium)は3重水素と重水素を指します。その外の赤い部分が核分裂燃料のプルトニウム239、茶色が火薬です。火薬の爆発によりプルトニウム239が超臨界まで圧縮された時に中性子が照射されれば核分裂の連鎖反応がねずみ算的に進行します。しかし工夫をしなければ核分裂しないうちにかなりの核燃料が飛散して核分裂が十分進行しないままで終わります。連鎖反応の初期に3重水素と重水素とが核融合できる条件が満たされるので、すぐに核融合が起こりそれからの中性子が供給されます。これが核分裂からの中性子より高エネルギーであるために核燃料を効率的に分裂させ、その分裂からの中性子も連鎖反応を促進する働きをします。この原爆部分からのエネルギーがX線で下半分の水素爆弾に送られます。中性子も下半分に送られ、黄色の重水素化リチウム6のリチウムから3重水素を生成し、元々ある重水素との間の核融合を起こさせます。水爆の所にもウラニウム235やウラニウム238があり、それが核分裂によって中性子を増やし、核融合反応を強化します。原子爆弾部分に組み込まれていてブースターの役割を果たす3重水素は半減期12年で減衰しますので、定期的に更新し続けなければ爆発威力が劣化します。これが水素爆弾の弱点です。図の左下に3重水素と重水素の混合ガスを、水素爆弾を解体することなく、外から交換するための缶が付けられています。

 アメリカ原子力規制委員会によって、テネシー川流域開発公社のワッツバー、セコイヤ両原子力発電所では核兵器のための三重水素を生産することが許可されています(『原子力 その隠蔽された真実』310頁)。これは原子力の「平和利用」と「軍事利用」とが表裏一体になっていることを最も明快に示している例になります。

脱原発と核廃絶も表裏一体

 以上のように、原子力発電関連の設備と技術があれば核武装は簡単にできます。多くの核保有国の核兵器開発は、原子力発電と見せかけて、国民にも秘密にして、推進されてきました。核拡散防止条約(NPT)に参加するかどうかを議論していた当時(1970年2月3日)、日本政府は声明で「日本国政府は、条約第10条に、『各締約国は、この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認めるときは、その主権の行使として、この条約から脱退する権利を有する』と規定されていることに留意する」と述べNPTに縛られずに核兵器を製造する選択肢を残したことが、2010年11月29日の外務省調査報告書で確認することが出来ます。日本は非核武装国でありながら、日米原子力協定によって例外的に再処理を認められています。国際機関ではなく、アメリカが認めるということも異常です。日本は核兵器を開発する能力がない、あるいは日本をコントロールできる、と思ったのでしょうか。核開発に秘密は付き物ですから、密約でもあるのでしょうか。六ヶ所の施設はまだ本格運転をしていませんが、すでにイギリスとフランスに処理を依頼した大量のプルトニウムを貯め込んでいます。経済性や世界の放射能環境を無視して強引に推進されている再処理の裏に秘密の目的があると思えるほどです。もんじゅと常陽からの兵器級プルトニウムを処理し終わったかどうかは不明ですが、日本の原子力発電と再処理の実態は核兵器製造の準備が完了した状態です。

 日本は建前として核兵器開発をしないことになっています。これまで、有力政治家等が個人として「原子力発電による核抑止力」や「核武装」を主張したことはありましたが、法的には原子力の軍事利用の道は閉ざされてきたはずです。しかし、2012年6月20日成立の原子力規制委員会設置法の付則にこっそりと「原子力基本法」の変更が盛り込まれました。追加された内容は、原子力利用の「安全確保」は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」行うとしています。 ここで核物質の誤った転用やテロなどを防ぐために国際原子力機関(IAEA)が作った「セーフガード」に対応する「安全保障措置」ではなく、核兵器による安全と受け取れる「セキュリティ」に対応する「安全保障」という用語が使われたことが問題です。これは実質的に原子力を軍事利用する意図を表したことになります。これでは日本が核武装を意図している国として警戒されても仕方がありません。原子力発電でプルサーマル運転してプルトニウムを消費して見せても、少ししか消費しないので、核疑惑を晴らせません。日本が核兵器開発を目指していないことを証明するには最低でも再処理の放棄が必要です。

 日本政府が原子力発電を止めない理由として、日本の原子力発電に対する米国政府の期待も挙げられます。アメリカの核不拡散を支えるには、日本が商業用原子力エネルギー分野で世界の一大強国であり続ける必要があるとアメリカ政府高官が発言しています。(資源エネルギー庁「原子力の国際協力について」の11ページ参照)

 本ページの「本当に原子力発電の経費は火力発電より安いのか」の所では原子力発電は火力発電より経済性で劣ることを説明しました。ところが核兵器は通常兵器よりも遥かに経済的です。このことは国ごとの軍事費を比べれば簡単に気づくことです。核武装によって軍事費を節約できます。また核兵器使用では放射能汚染問題を考慮しません。放射線効果を強化した「中性子爆弾」(水素爆弾の一種)さえあります。原子力発電と核兵器は表裏一体ですが、経済性と安全性では全く逆の性格を持っています。核兵器の有利な経済性のために、原子力発電を導入している国の全てが核保有国にならない保証はないように見えます。核拡散防止条約によっては核保有国が増えることを防げませんでした。さらに「テロリスト」等が核兵器を製造することも防げない状態が続いています。「核兵器と無縁の原子力発電」という幻想は「安全で経済的な原子力発電」という幻想と同様に根拠のない夢に過ぎません。平和利用の原子力発電であっても、核兵器廃絶の妨げになっています。原子力発電所を閉鎖する前に、兵器級プルトニウムを燃焼し尽くすことこそ、本当の「原子力平和利用」となります。なお、兵器級ウラニウムは天然または劣化ウラニウムと混合してウラニウム鉱山に戻せば十分で、原子炉で燃焼する必要はありません。

 原子力発電と核兵器が表裏一体ですから、脱原発と核廃絶も表裏一体です。世界中で原子力発電を使わなくなれば数十年で核兵器製造技術が消えていくでしょう。使わなければ科学も技術も衰退するからです。闇市場から遠心分離ユニットが消え、地球から悪魔の元素プルトニウムも消えるでしょう。また高性能原子爆弾や水素爆弾に必要な3重水素更新が妨げられ、核兵器が劣化します。このように核兵器製造の下部構造から崩していくことが核兵器を廃絶し、再開発もさせない確実な道です。広島と長崎で原爆による10万人規模の死者、チェルノブイリと福島で原発による10万人規模の避難者が出ました。原子力の表裏両面で被害を受けた日本こそが、最も強い説得力で原子力発電廃止と核兵器廃絶を併せて世界に訴えることができます。放射能汚染の恐怖から解放される脱原発を経由して、核戦争の脅威からも解放される「核のない世界」を子孫に残しましょう。


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