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7.再生可能エネルギーへの転換は21世紀の避けられない課題

「再生不可能エネルギー」による発電の歴史

 「再生可能エネルギー」の逆の「再生不可能エネルギー」の大規模な利用は産業革命に遡りますが、日本では明治維新以後です。さらに発電での利用の歴史はもっと新しくなります。昭和30年代の「高度成長」時代以前、発電の大部分は再生可能エネルギーである水力によって行われていました。それが再生不可能エネルギーによって置き換えられてきた経過を7−1図を見ながら振り返ってみましょう。

7−1図 発電電力量の推移 1971年までは9電力会社計 資源エネルギー庁のページの【第214-1-6】のエクセルファイルから生成

 7−1図は発電のエネルギー内訳の歴史を示しています。6−1図は一次エネルギー全体の内訳であるのに対して、この図は発電に使われたエネルギーの内訳であるのことに注意してください。この図の左端の1952年、水力が発電の主役でしたが、すでに開発し尽くされて新規開発の余地は殆どありません。そのため電力需要を満たすことはできず、「石炭火力」発電が推進されました。1963年から火力が優勢になりました。しかし石炭火力の利用は窒素酸化物、硫黄酸化物を大量に大気中に放出したために「光化学スモッグ」を引き起こし深刻な社会問題となりました。

 大気汚染を引き起こす石炭に代わって石油が火力発電の主役になってきました。しかし、1970年代の2度にわたる石油ショックのために石油の安定供給に疑問がもたれ、石油に代わって液化天然ガス(LNG)発電と原子力発電が参入し、次第にシェアーを増やしてきました。一方、石炭火力発電は脱硫装置などの技術開発により大気中に排出する有害物質を大幅に減らせるようになり、再登場してきました。政策としても、資源の少ない石油の消費を減らすために、石油火力発電を石炭火力発電で肩代わりするように位置づけられています。

 総発電量の急激な増加はバブル経済の崩壊と共に冷え込み、20世紀末頃から緩やかになりました。その後、2007年をピークとして総発電量は減少しています。この減少の背景には景気の問題の他に省エネルギー技術の進歩があります。

 2011年の東電福島第一原子力発電所の大事故により原子力発電の安全基準の見直しが行われ、完全停止の期間がありました。原発が担っていた発電量をカバーするためにLNG発電が増強されました。現在はLNG火力発電が最大のシェアーを占めていますが、燃料単価が国際価格の数倍もしているために貿易赤字が続いています。

 この図から発電に使われる再生可能エネルギーの比率は10%程度であることが分かります。一方、世界全体では2011年集計で、再生可能エネルギーが発電総量の20.2%を担っています。日本の再生可能エネルギー普及率は世界平均の半分以下になります。

再生可能エネルギーの必要性

 原子力発電は少量の燃料で莫大なエネルギーを引き出しますが、放射能汚染の深刻な被害を起こす可能性をなくせません。ウラニウム資源は約100年分しかなく、地球温暖化防止のために化石燃料の肩代わりをすることもできません。原子力エネルギーへの根拠のない幻想に囚われず、再生可能エネルギーへ転換することは21世紀人の避けて通れない課題です。

 また6−1図が示すように、日本のエネルギー自給率はたった6%(現在は4%)しかありません。食糧自給率が40%台から10%台に落とされるTPP参加も問題ですが、エネルギー自給率がもっと深刻な状態にあります。異常な輸出依存の経済ではなく、日本の健全な経済発展を目指すなら食糧自給率とエネルギー自給率を高める必要があります。鉱山資源に乏しい日本がエネルギー自給率を高める手段は資源の要らない再生可能エネルギーしかありません。すでに見たように原子力資源は国産ではありません。エネルギー自給率の低い国が経済的に発展しようとすると他国の化石エネルギー資源の確保をめぐっての紛争を引き起こします。ウラニウム資源が枯渇する21世紀後半にはウラニウム資源をめぐる権益の争いも起こるかもしれません。他国の再生可能エネルギー資源を奪うことはできませんので、世界中で再生可能エネルギーが主力エネルギーになれば、エネルギー資源をめぐっての紛争が起こる理由が消滅します。このことは再生可能エネルギーの拡大は世界平和にも貢献することを意味します。

 石炭や石油は数億年も前の生物が太陽からのエネルギーを受けて蓄えたエネルギーが化石として現代に遺された遺産ですから、化石エネルギー利用は過去の生物からの遺産を消費することになります。 原子力エネルギー資源のウラニウムに込められたエネルギーは、太陽系の前の世代の星が進化の最期を迎え、超新星爆発を起こした時に、星内部の重力の位置エネルギーから供給されました。水素とヘリウム以外の元素は星の進化の遺産です。地球は約46億年前にそれらの物質が集まってできました。元素合成時にはウラニウムだけでなく多数の放射性核種がありました。地球誕生時までに半減期の短い放射性核種は消滅して放射線強度が減りましたが、それでも現在の6倍程度の厳しさでした。その後の46億年もの長い時間の長半減期放射性核種の崩壊によって放射線強度は減衰して年間被曝線量が世界平均で2.4ミリシーベルトまで下がってきました。元素合成時や地球誕生時よりも安全度が高められた現在の地球放射能環境は数十億年にもわたる元素進化の遺産です。原子力発電による放射性廃棄物の生成と放射能汚染はこの元素進化の遺産を台無しにする行為です。放射性廃棄物に含まれるプルトニウムの半減期は2万年以上ですので実質的に10万年間も未来人に危険を及ぼし、放射性物質管理または消滅作業の負担を強いることになります。原子力エネルギーの利用は放射性廃棄物という未来人へ負の遺産を遺すことになります。

 現状のエネルギー利用を続ければ化石エネルギーも原子力エネルギーも21世紀で枯渇します。21世紀人が過去からの遺産を使い潰し、未来へ負の遺産を遺すという、地球の歴史上最悪の役割を果たしつつあることを改めるために再生可能エネルギーへの早急な転換を図る必要があります。

再生可能エネルギーの特徴

 2011年5月9日、国連の「気候変動に関する政府間パネル」は、2050年までに世界のエネルギー需要の77%を再生可能エネルギーで賄うことができるという展望を示しました。容易ではありませんが、これを達成するための技術的、政治的課題を解決する必要があります。

7−2図 再生可能エネルギー 『図面集2011』から引用

 名称の問題ですので拘る必要はありませんが、ここで「新エネルギー」としているものも「再生可能エネルギー」です。

7−3図 新エネルギーの課題 『図面集2011』から引用

 この表で風力発電単価は原子力発電単価に劣りません。設置台数が増えれば単価はさらに下がります。太陽光発電の単価が原子力発電の数倍以上あるとされていますが、生産規模の拡大によって太陽光発電パネルの単価も劇的に下がってきています。2012年7月からの買取価格が10年間 42\/kWh となりました。10年間程度の運転で設備費を回収できる価格設定ですので住宅用太陽光発電の導入が急速に進んでいます。メガソーラー設備を有する発電事業者も増えてきています。この高い買取価格は電気料金値上げにつながりますが、脱原発のために再生可能エネルギーを軌道に乗せることが重要です。既に買取価格は下がり始めていて、電気料金へのしわ寄せも確実に下がっています。発電経費もこの表の数分の1になりつつあります。なぜならば中国製パネルの価格は日本メーカーの価格の数分の1程度まですでに下がっているからです。風力発電も太陽光発電も設備費競争で原子力発電をすでに追い越しています。

 原子力発電並みの100万キロワット級の発電を太陽光発電で行うためには山手線の内側に相当する面積、風力発電はその3.5倍の面積が必要であるという批判があります。山手線の内側の土地を購入するには何兆円必要なのでしょうか。見当もつかない額ですね。山手線の内側に設置するわけではありませんが太陽光発電にも風力発電にも広大な土地が必要であることは確かです。後述するように、風力発電でも太陽光発電でも、全ての原発の発電量を上回る発電をする場所を確保することはできます。

7−4図 太陽光・風力発電の出力変動 『図面集2011』から引用

 太陽光発電も風力発電も昼夜や気象条件による出力変動の問題があり、規模が拡大するとかなり深刻になります。一方、出力変動のない原子力発電は昼夜の需用電力変動に対応できません。そのために一般水力発電や火力発電の出力を調整して需要変動に対応したり、揚水発電の併設を必要としていました。夜間の割引電力で「エコキュート」を広めて需要を拡大することも行われてきました。これらの出力変動と需要変動の両方の問題に対応するために大規模なエネルギー貯蔵技術の開発が必要です。水素エネルギー(燃料電池)は一次エネルギーではないので他のエネルギーを使って水素を生産する必要があります。この「水素エネルギー」をエネルギーの蓄積と運搬の媒体として大規模に導入する必要があります。

風力発電について

7−5図 陸上風力発電利用可能量 『平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書』から引用

 7−5図は風力の発電経費は原子力に比べて劣らないものであることを示しています。原子力発電の経費を前述のように正当に評価すれば、すでに風力発電は原子力発電よりも経済的です。環境省の「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」では再生可能エネルギーで最も可能性が大きいのは風力発電であり、第34図に示すように、東北電力管内の陸上風力発電だけでも国内の全原子力発電量を上回る発電の可能性があります。原子力と比べて設置面積が大きくなる(1万 kW 当たり 1 km2 程度)ことが欠点とされていますが、風車の足元以外は農地として利用できます。さらに海に囲まれている日本で洋上風力発電の可能性は陸上風力の 5.5 倍もあります。

 風力発電の弱点の1つに風の強弱の変化による出力変動の問題があります。これが電力会社が送電を断る理由にされています。この問題は国の政策として解決する必要があります。さらに騒音やバードストライクの問題がありますが、これらの問題を解決し、さらに集風効果を高めた「風レンズ風力発電機」が九州大学で開発され伊都キャンパスに設置されています。 ここをクリックするとNHKで「発電量向上研究進む風力発電」という表題で2011年6月27日に放送された動画を見ることができます。 すでに3〜5キロワットの小型の風力発電装置も市販されています。建築基準法の適用外の高さですので、個人宅の庭に設置できそうです。価格が下がり、雪国で太陽光発電パネルを設置しにくいところでも普及することを期待したいと思います。

 洋上では風力が地上より強いという利点があります。ヨーロッパと違って浅海が少ない日本では浮体式洋上風力発電が有望です。この場合、送電線を使わずに電力で水素を生産して船で運ぶようにすれば、風力変動によって発電量が変動する問題は解消します。

7−6図 小型風レンズ風力発電機 左の図面で左側が風上
市販品のパンフレットから引用
7−7図 浮体式大型洋上風力発電の構想
ここから引用


7−8図 世界の洋上風力発電 ここから引用

7−8図は世界の洋上風力発電の比較です。イギリスがダントツです。日本は右端に表示されています。



図7−9 浮体式洋上風力発電所「ふくしま未来」 右は浮体式洋上変電所「ふくしま絆」

 2013年11月11日、福島県沖25 kmに設置した2MW浮体式洋上風力発電設備が実証試験運転に入りました。送電損失を少なくするためにヘリポートを備えた世界初の浮体式変電設備も備えています。今後は、気象・海象データや運転データの収集・分析を行い、浮体式洋上風力発電の安全性や信頼性、経済性を評価すると共に、運転維持管理手法を確立していくことになっています。なお、2014年度には7MW級の浮体式洋上風力発風車2機の設置も予定しています。予定通りにいけば合わせて16MWとなり、浮体式洋上風力発電所としては世界最大の出力となります。

割高なことが欠点だとされてきた洋上風力発電の競争力が、大幅に高まりそうだ。出力600メガワットの発電所が、1キロワット時当たり約5.7円という価格で落札、建造が始まる。これは火力発電のうち最も低コストな石炭火力を下回る水準だ。 (http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1611/14/news093.htmlから引用



7−10図 空中風力発電 同社の資料から引用

 上空の風は地表付近の風よりも強く安定しています。空中で風力発電を行う試みがアメリカのアルタエロス・エネルギーズ社で行われています。写真の「空中風力発電機」を数百メートル上空に浮かせて地上風力発電機の2倍の風力を得ています。7−10図のようにトレーラーで運ぶこともできます。ここをクリックすると空中風力発電機の離陸・運転・着陸・運搬の動画を見ることができます。1時間程度で設置ができてしまいます。

 2014年12月、この会社に対してソフトバンクが出資し、2015年に200kWの発電を開始することになりました。ソフトバンクとしては空中発電の他に携帯電話の通信基地局としての機能を目指しているようです。



太陽光発電について

 7−3図でも太陽光発電のデメリットとして指摘し、7−4図では出力変動の図を示しています。しかし曇りの場合の変動は多数の太陽光発電で平均化されますので風力の場合より影響が軽微です。雨天による出力低下は稼働率を下げるだけです。昼夜の変動は電力需要の昼夜の変動に対応しているのむしろ有用です。

7−11図 日本の太陽光発電量の推移と世界でのシェア 『図面集2011』から引用

 7−11図は2009年集計のものです。『図面集2001』にある同様の1998年の集計で日本の太陽光発電量シェアは世界一でした。その当時の再生可能エネルギー促進のための補助金が2005年から打ち切られたために他国に追い抜かれ国内市場も縮小しました。上のグラフのように2009年集計で日本は3位に転落しています。2009年に補助金が復活しましたが、2012年にはスペインを追い越しましたが、イタリア、アメリカ、中国に追い抜かれています。

 2012年7月から施行された電力買取制度がドイツのように機能することが期待されます。2030年までに全世帯の3割にあたる1400万戸に 3.7 kW のパネルを設置するという政府案では年間560億kWhの発電量で全発電量の5%ほどにしかなりません。

7−12図 電力会社のメガソーラー発電 『図面集2011』から引用

 7−12図は電力会社も太陽光発電を推進していることを示していますが、本気ではありません。福島第一原子力発電所の事故以後、日本の太陽光発電量が大幅に増えているのに、電力会社による増加分は少なく、『図面集2016』でも電力9社合計は100メガワット弱です。これでは電力会社以外の大型太陽光発電所1カ所分にもなりません。電力会社は本気で再生可能エネルギーを推進する意志がないようです。

 ソフトバンクが「耕作放棄地活用」を謳ってメガソーラー発電事業に参入しましたが、苫小牧の例は工業団地内に設置されました。他の新規参入事業者も含めて耕作放棄地での実績は挙げられませんでした。農地法で、農地を農業目的以外に使用することは知事の転用許可なしでは禁じられています。

 2014年に「農山漁村再生可能エネルギー法」が施行され、「再生利用困難な荒廃農地」(14万ヘクタール)で太陽光発電や風力発電を実施できるようになりました。しかしこの「再生利用困難な荒廃農地」は日本の全農地400万ヘクタールのほんの一部に過ぎません。もっと大規模に太陽光発電を推進する道を検討しましょう。

 ここをクリックするとフランス Les Mees の 73,000 kW の太陽光パネルを上空から見ることができます。村がもともと牧草地だったところを借りて大規模な太陽光発電所を作りました。画像を拡大していくとパネルの列の間に隙間が大きく空けられていることが分かります。太陽光パネルの架台の下や広い隙間は牧草地のままで放牧が続けられています。ここでは農地の本来の利用と太陽光発電が共存できているのです。太陽光発電が大面積を必要とする問題を解決するヒントが与えられています。日本では代表的な農地は水田ですが、水田と太陽光発電との共存は可能でしょうか。

耕作農地のままで太陽光発電ができる「ソーラーシェアリング」

 耕作放棄地ではなく耕作中の農地で、太陽光発電ができる画期的な方法があります。長島彬氏の「ソーラーシェアリングのすすめ」では農地での農作物生産と太陽光発電が共存できる方法が紹介されています。

 多くの植物にとって強すぎる太陽光は有害であり、「光飽和点」以上では光合成も増加しません。農作物の成長に悪影響を与えることなく、この過剰な太陽光(3分の1程度)を発電にまわす(太陽光を農作物とシェアーする)太陽光発電が長島氏によって考案され、実証実験が行われ特許を申請し公開された(特許公開2005−277038)後に、審査請求を行わずにこの考え方を「公知の技術」として誰もが使用できるようにされています。このソーラーシェアリングは耕作を継続しますので、農地法で禁止している転用には該当せず、農地での発電が可能なはずです。転用を不要とすることを求めた要求に対して、2013年3月31日に農水省は農作物収量等の条件を課して3年毎の「一時転用」を認めるようになりました。

7−13図 ソーラーシェアリングシステムの実証試験畑

 7−13図の写真は市原市にある実証試験場を見学して撮影したものです。この写真から太陽光パネルの隙間が広く取られていることが読み取れます。太陽光パネルの高さは農作業や作物の高さをクリアするようにします。パネルを固定している棒を回転させれば太陽光パネルと農作物との間の太陽光配分比を調整できます。パネルがある所(右側)とない所(左側)でソバの生育を比較しています。風が強い時には保護のためにパネルを水平にします。

7−14図 ソーラーシェアリング七つ松発電所

 早速「ソーラーシェアリングを推進する会」に入会し、私の農地と宅地にまたがる畑に雪国仕様の発電所を設置しました。2013年に完成し送電をしています。太陽光パネルの下ではサツマイモ、トウモロコシ、大豆、アスパラガスが栽培されています。パワーコンディショナーを持ち上げる場面以外は一人で組み立てました。設備費は普通の場合の半分程度です。詳しくは電気を栽培するをご覧ください。

 2009年の日本の総発電量の9565億kWh(6−13図参照)を太陽光だけで発電するには、日本の農地面積400万ヘクタールのうちの300万ヘクタールでこのシェアリングを適用すればいいのです。原子力発電だけを置き換えるならば100万ヘクタールだけの適用で済みます。買取価格が 25 \/kWh まで下がるとしても、1反(10アール)あたり年80万円の収入になります。これは農作物本体の収入(十数万円)よりはるかに大きなものになり、農業経営を改善させます。農業生産の継続が条件となりますので、農村で食料とエネルギーとの地産地消が実現され、農村の活性化に結びつきます。


電力会社による接続契約保留問題

 電力会社による太陽光発電と風力発電の接続契約保留問題が再生可能エネルギーの発展に水を差す状況になっています。日照の変化により個別の太陽光発電では出力の変動が深刻ですが、多数の太陽光発電の出力を合わせると短時間の変動の効果が小さくなり、長時間の変動、主として昼夜による変動だけになります。この変動は需要の変動と近いのでむしろ有用です。

電力供給が電力需要を上回る場合には発電事業者からの接続を抑制する基準が示されていますが、その供給電力計算では原子力規制委員会の審査を終えた原発だけでなく、申請もしていない原発、廃炉すべき原発も含めて全ての原発の再稼動を前提にしています。出力調整ができない原発は再生可能エネルギー発展を妨げる存在になっているのです。


省エネルギーの必要性

 再生可能エネルギーが不十分なうちに原子力発電を停止すると電力不足が起こると思われました。しかし原子力発電を全て停止しても電力不足が起こらないことが実証されました。しかし緊急に火力発電を増大させ、膨大な燃料を輸入するために貿易赤字が続いています。また二酸化炭素排出削減の国際公約が反故にされています。原子力再稼動なしでこの国際公約を実現するためには再生可能エネルギーと同時に省エネルギーも推進する必要があります。切り詰めれば100ワットでも生活できるということが『人は100Wで生きられる』に書いてあります。それ程頑張らなくてもエネルギー不足を克服できます。

7−16図は電源別の発電量の実績と予定を表示しています。一番新しい実績は2009年度のものになります。2009年度に原子力以外の発電は6791億 kWh でした。原子力を含む総発電量がその量になるのは二十数年前ということになります。その頃の日本の経済はバブル期で、電力不足ではありませんでした。その頃の電力消費量で生活すればよいのです。

7−16図 電源別の発電量の実績と予定を表示しています。この図の範囲で一番新しい実績は2009年度のものになります。 『図面集2011』から引用

 火力発電燃料費高騰で苦しむ電力会社がコンバインドサイクル発電などの技術開発によって火力発電効率上昇の努力をしていることは評価できます。火力発電は二酸化炭素を排出するので、減らしていくべきですが、発電効率向上は同じ発電量での二酸化炭素排出量の減少に繋がります。

 省エネルギーの観点からは、夜間割引料金での「エコキュート」は止めるべきです。原子力発電で熱エネルギーを電気エネルギーに変える効率は30〜40%です。電力の消費地で電気エネルギーを熱エネルギーに変換することは、消費地へ燃料を届けて熱水を作ることと比べて、3分の2の熱エネルギーの無駄使いになります。夜間の需要量より多くの発電をするのは需要対応機能のない「ベースロード電源」です。夜間の余剰電力は電力会社が蓄電して昼間の需要にまわす努力をすべきです。それを怠って夜間消費を増やして消費者に蓄熱を任せるのは本末転倒です。「エコキュート」は電力会社の経営に好都合であっても、エネルギーの無駄使いであり、決してエコではありません。

 民主党政権のエネルギー・環境会議は2030年までに原発をゼロにし、火力で65%、再生可能エネルギーで35%の電力を賄うシナリオでは、電気料金が現行の2倍にもなるという試算をしました。一方独立行政法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターの報告では省エネ対策をすると家庭のエネルギー需要は4分の1程度まで減らせるので、電力料金が上がっても電気代は現行の半分になるという試算を行っています。

7−17図 省エネ対策をすると家庭のエネルギー需要は4分の1程度まで減らせます JST/LCSの報告から引用

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