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第4章 重水素核の構造

2体系の運動

 ここでは数式が多く、ホームページで表現するには技術が要求されます。この項目の工事は後回しにします。

井戸型ポテンシャルでの重水素核

 重水素原子核の基底状態は陽子と中性子が軌道角運動量 l = 0 、結合エネルギー B = 2.225 MeV の束縛状態である。この状態の性質を調べる。

 陽子が1個しかないので電磁相互作用がない。核力を図のような井戸型ポテンシャルで表せるとする。すなわちポテンシャルは 0 < r < a で V = -V0, r > a で V = 0 とする。ここで a = 2.1 fm である。この状態は E = -B の固有エネルギー状態である。

波動関数の動径部分を

R(r) = u(r)/r
と表すとシュレディンガー方程式は
d2u/dr2 + (2m/h(bar)2)[ E - V(r) ] u = 0

となる。

 内側( r < a )では

E - V = -B - (-V0) = V0 - B > 0

であることに注意して
α2 = (2m/h(bar)2)(V0 - B)
を定義する。そうすると
d2u/dr2 + α2 u = 0

と表せるので、一般解は
u = C1cosαr + C2sinαr

となる。ここで R(r) = u(r)/r が r = 0 で発散しないために u(0) = 0 が要求されるので C1 = 0 である。

 外側( r > a )では

E - V = -B < 0

であるので
β2 = (2m/h(bar)2) B
を定義する。そうすると
d2u/dr2 - β2 u = 0

と表せるので、一般解は
u = C3eβr + C4e-βr

となる。ここで u(r) が r = ∞ で発散しないことが要求されるので C3 = 0 である。

 r = a で内外の波動関数とその微分が連続であることを要求し

X = αa, Y = βa
を定義すると

X cotX = -Y
X2 + Y2 = (2m/h(bar)2)V0a2

を得る。この2つの曲線の交点から X, Y を求めることができる。前出の数値を代入すると Y = 0.487 を得る。これを使って X cotX = -0.485 を解くと X = 1.83 を得る。これから V0 = 34 MeV も得られる。波動関数は図のようになる。重水素核では2つの核子間の距離が核力の距離 a よりも大きい確率の方が大きい。このことは課題8とする。

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