前方の景色と共に飛行中の自分を後ろから撮影する



撮影の趣旨

 機体下面にカメラを貼り付けて自分を撮影する場合、ローリングによって左右の遠景を写しこむことができますが、その時以外は近い風景に限られます。定常の水平飛行でも遠景が安定して写すことができれば「自撮」の範囲が広がります。既に真上、左右上方からの撮影はできていますので後ろ上方から、前上方から自分と遠景を写すことが残っています。前方からの撮影法については後で考えることにして、後ろ上方から自分と前方遠景を写すことに挑戦しました。


ともかくテスト撮影

 機体中央に近いDラインの付け根2つから紐をV字形に延ばしカメラをぶら下げで飛んでみました。紐は長さ5メートルのものを折り返していますので、カメラと機体の距離は2メートル余りです。風を受けて紐がどれだけ後ろに傾くか、カメラはどれだけ水平方向から下に向くか、つまりカメラが何処からどの方向を撮影するか、まったく見当がつきません。面白い画像が得られるかどうかは、やってみるしかありませんでした。カメラが紐にぶら下がっているだけなので、動画は激しく振動します。振動を抑える方法を見つけるまでは動画から抜き出した静止画でいいものがあれば満足するしかありません。

 相原さんのホームページにテイクオフから写した飛行中の私の写真が掲載されていました。左の写真はそれをいただいてトリミングしたものです。白く光るカメラがはっきり写されています。相原さんありがとうございます。なお相原さんは左下の写真に写っているように赤と緑の機体を広げてテイクオフの準備をしていました。

 機体のラインとカメラをぶら下げた紐が区別しにくい理由は解体した機体から回収したラインをカメラをぶら下げる紐として使っているからです。これは植木さんからもらいました。植木さんありがとうございます。なお、このラインが機体のラインと絡まると非常に危険であることから、最近は機体より弱い細いタコ糸に切り替えています。機体のラインと比べて吊り下げ紐が少しだけ後方に傾いていることが分かります。もう少し後ろに下がることを期待していました。

 取り出した静止画の一部を時間順に並べます。クリックすれば拡大画像を見ることができます。

 テイクオフのときに紐がねじれていて、カメラは後ろを向いていました。カメラをぶら下げて飛ぶのでテイクオフの皆さんが注目しています。カメラを背中に付ければこのような画像を得ることはできますが、わざわざそのようなことをする人はいないと思います。カメラを前方につけてこのような画像を得ることは非常に危険ですから、偶然得られたこの画像は貴重なのかもしれません。左の写真で準備中の赤と緑の相原さんの機体が写っています。上の私の写真はこの機体の位置から撮影したのでしょう。

 紐のねじれは直りました。大部分の時間、カメラは前方の遠景を写していました。カメラの位置と方向が激しく変化するので、下を向いて私を写した時もありました。前方の遠景も同時に写されています。しかし、このように写ったのはほんの一瞬だけです。もっと下向きにしないとパイロットを安定して写すことはできません。

 パイロットと前方の景色とを安定して同時に撮影するためには、パイロットが入るようにもっと低い位置にカメラを置く必要がありそうです。まず、紐を長くすることが考えられます。今回の紐の長さでもテイクオフの時にはラインと絡まないように神経を使いました。もっと長くするためにはテイクオフで他の人の援助が必要になりそうです。また紐をラインの付け根ではなくラインの枝分かれのところに取り付けることが考えられますが、機体の安全性の問題を起こすかも知れません。パイロットに近づきすぎてパイロットが画面の大半を占めるように写すことも避けたいです。

 試行錯誤の途中の画像を高橋さんが撮影しYouTubeに投稿された動画から見つけました。ライズアップ初期の、機体が上昇している時に、Dラインの付け根からぶら下がっている紐が、背景が暗い所を通るときに、見やすくなっています。

 カメラ位置を下げる他に、カメラにテープを付けて空気抵抗によってカメラが下向きになるようにすることも考えられます。その場合には、紐を長くする場合より遠景の範囲が狭められますが、上のような画像が安定して得られることが期待されます。

 紐でぶら下げただけなので、カメラの位置と向きが安定せず、動画の振動が非常に激しくなることは避けられません。安定させる方法を確立するまでは静止画を切り取って楽しむしかないのかも知れません。

紐を長くし、振動も抑える(半分成功)

 1本の紐を機体の付け根とカメラのストラップ穴を通して3角形を作る上記の方法ではカメラが簡単に回転してしまうので、それを抑える工夫をしました。同時にカメラ位置を下げてみました。

 写真のように約5メートルの長さの紐2本を機体中央に近いDラインの付け根2箇所に付け、1本の紐の端をアルミパイプ(アクセルのフットバーから転用)を通してから他方の紐と結び、機体、紐、パイプで4角形の「ぶらんこ」を作ります。そのパイプをカメラ固定台とし、カメラを輪ゴムで取り付けます。空気の抵抗によって固定台が適度に後方に下がること、カメラが適度に前傾することを期待してカメラにテープを貼り付けました。長さは写真で写っている部分の3倍あります。



 1回目の挑戦。立ち上げのときにテープが紐にからみ、カメラが下後方を向くようなパイプ回転角度で落ち着いてしまいました。ランディング付近にきてからローリングをしてみて、カメラの向きが変わりました。それ以前の画像は少し後方の下ばかり写っていて面白くありません。ローリングによってカメラの向きが改善され、私が頻繁に視界に入るようになりました。多数の満足できる静止画を得ました。左の写真をクリックする原画が表示されます。他のパラグライダーから写してもらった写真のように見えれば大成功です。ぶらんこのような固定台にして動画振動は軽減されましたが、まだ満足はできない程度でした。

 上の静止画に私だけでなく私のパラグライダー本体も写っていることにお気づきでしょうか。拡大した画像で私のヘルメットを見てください。この方法は機体も撮影できることが分かりました。

 2回目の挑戦。カメラに付けたテープを外し、パイプの左右に半分ずつつけました。パイプを通した紐はパイプに固定していなかったので、左右の紐の長さのバランスを調整する必要がありましたが、それを怠ったために、固定台が鉛直に近いほど傾きました。カメラも90度ほど回転した状態での撮影になってしまいました。

 理由がよく分かりませんが動画振動は1回目と比べて大幅に改善されています。写真をクリックすると動画を10秒間表示します。積極的にこのような構図にすることもあり得ますね。動画を回転するソフトを探す前にパソコンのディスプレイを回転させることもありかもしれません。



紐の捩れを抑える(一歩前進)

 これまで紐をDライン中央付根に縛り付けていました。2本のラインの先端のカメラ固定棒とでブランコのような構造でした。カメラを後方に引くためのテープの代わりにレジ袋をパイプに貼り付けたりもしました。この間の試行錯誤では、この2本のラインが捩れて絡み合ってカメラは勝手な方向を向いて撮影がうまくいきませんでした。

 この捩れが起こりにくくなるように紐を垂らす位置の間隔をDライン中央の2本の間隔よりももっと大きくしてみました。Dラインの付根ではなく、付根の下でDラインが2回合流する結び目から紐をたらしました。この位置は元の付根間隔よりも大きな間隔を確保できています。しかし、左の写真のように、取り付け位置が下がった分だけカメラ位置が下がり、私に近づきすぎています。

 カメラの見下ろし角を設定できるようにダンボールの「水平翼」をつけましたが、これが上下角度の振動を起こし動画としては見にくいものになりました。しかし紐の捩れが無くなったために静止画は大収穫でした。最大の収穫は右の写真です。そこには月山、鳥海山、葉山の3山と私が写っています。鳥海山は左右中央の地平線方向に小さく見えています。鳥海山は空気の澄んだ時しか見えませんが、2月22日はいい条件に恵まれました。非常に幸運な偶然です。写真をクリックして拡大して確認してください。

 この段階で高速の振動を抑えることと、パイロットとカメラとの間の距離をもっと長くとってパイロットをもう少し小さく写すことが課題です。


カメラの振動を抑え、カメラとパイロットとの間の距離を長くする(意外な解決)

 カメラ固定台を大きく重くすると振動には安定しますが、ランディングの時に最初に地面にぶつかるのはカメラですから、固定台は軽いほうがカメラを破壊しないためにはいいのかも知れません。思い切って固定台を軽量化してみました。右の写真のように厚さ6ミリ、幅20ミリ、長さ27センチの杉材(芋煮用の薪)の両端をキャノピーから吊るした紐で縛り中央にカメラを貼り付けるだけです。


2011年2月23日撮影、6.4 MB、22秒
テープやレジ袋などをつけて空気抵抗で後方に固定台を引かなくても、固定台が軽いために、簡単に後方に流され、パイロットとの距離は大きく取れました。右の動画ではランディングに近づいたためか、カメラの揺れが起こりません。揺れはサーマルやリッジ風などによって、機体自体が動き、それによって吊るされたカメラがブランコのように揺れることによるものと考えられます。そうだとするとこの揺れは機体の揺れがある限り消せないものであることになります。


最も安定した撮影の例

2011年7月3日撮影、1.2 MB、11秒
 アヌシー湖の上空を飛びました。カメラの揺れが最も小さい動画を得ることができました。大気の安定した条件で飛べば揺れが小さくなります。この画像で私が乗っている機体も写っています。黄色い試乗機ですが、分かりますか。



この方法特有の撮影シーン

2011年7月3日撮影、0.8 MB、5秒
 立上げ直前のカメラはフライヤーのすぐ後ろの地上にあります。手袋以外の全ての準備が終わってから、他人に依頼することなく、フライヤー自身がカメラの撮影開始のスイッチを押すことができます。そのために飛行直前のアイドリング時間が短かくなります。

 シャッターを押してから立上げでカメラが動かされるまでの間のフライヤーの動作が撮影されます。他の人が撮影のために立ち入れない場所からのユニークな画像が得られます。それを利用してカメラに出発前の挨拶をしておくこともできます。



安全のために

 これまでつり紐と機体のラインが絡んだことはありません。しかし絡めば非常に危険ですので絡みに対する安全対策が必要です。私はつり紐を機体ラインよりも弱い糸(一番細いタコ糸)で置き換えました。絡んだ場合にカメラを犠牲にして飛行の安全を確保するためです。強い紐を使っての撮影は、ラインの絡みが解けなかったり、機体のラインを切断する危険があるので、避けてください。


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