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農水省「一時転用」通知以後の対応

農水省の「一時転用」通知

半年間待って、2013年3月31日、農水省は「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」(PDFファイル)という農水省農村振興局長名の通知を全国の知事等に発信しました。この中でソーラーシェアリングを「農地に支柱を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備等の発電設備を設置する技術」と表現して農地転用のこれまでの手続きに代わる基準を決めています。

この中で耕作条件が満たされているかをチェックし、3年ごとに「一時転用」を繰り返すことが規定されています。この一時転用は農地を本式に転用するものではありません。この点では「転用不要」の要求を満たしていることになります。また耕作放棄地の扱いは別途決めるとしています。

基準の細部を見ると、日本の農地の大部分を占める水田でのソーラーシェアリングの普及の障害になるものもあります。大規模水田での架台は頑丈なものになるでしょう。簡単に撤去できることを条件にしては普及しません。後継者がいる場合には頑丈な架台を許容すべきです。

またこの通知以外に公表されている通知がないために(ある場合にはお知らせください)、都道府県の農政課等や各市町村農業委員会での具体的対応がばらばらです。私はその被害を受けました。まだ一時転用の申請書類が統一されていません。全国統一した取扱いが早急に行われることを期待します。

転用手続き開始

私は農水省の一時転用の通知が3月末に出てすぐに山形市農業委員会に一時転用の申請をしました。数日後に一時転用の対象は大規模農地だけであり、小規模農地は一時転用の対象外という農業委員会の見解を示されました。これで一時転用の道を断たれてしまいました。

私は半年前に農業委員会から転用に該当することを伝えられましたが、転用ではなく「転用不要」を求めて3月末まで待っていました。待っていたことが無駄になり、その間に売電価格が下がってしまいました。大規模農地で「一時転用」で本式転用を免除した点では評価できますが、小規模農地には従来の本式転用を課している点で問題が残りました。

不本意ながら4月以後、転用の手続きを始めましたが、こちらも順調には進展しませんでした。農業委員会事務局で転用に必要な事項として以下の3点が示されました。

耕作

春になって雪が消え、土も乾燥してきて、畑を耕作できる時期になりました。畝を作る基準が必要なので架台の基礎部分を組立ててあります。転用前の「事前着工」にならないために「防獣網架台」の範囲に限定しています。

架台手前の畝は従来どおり東西方向ですが、架台の内側では南北方向に作りました。



転用のための地積更正


この写真は2013年6月11日撮影のものです。左側の畝にはすでにトウモロコシと大豆の苗を植えています。これらは狸やハクビシンに狙われます。右側はサツマイモを予定していますが、まだ定植していません。右端に写っている電柱は近いように見えますが、次の写真で説明するように、高台の向こうの道路の向こう側にあるものです。架台北東端に立てた柱との間に電線を張ります。 写真撮影時点で、この農地は転用手続き中です。農地の地図と登記面積に3倍の食い違いがあったので地積更正測量をした結果、この架台の東半分の大部分が宅地であることになりました。西半分の転用手続きが完了していませんので、それまでの間、西半分は「防獣網架台」、東半分を「防獣網・太陽光発電兼用架台」とします。

写真の左側(西側)ではトウモロコシと大豆を植え始めています。狸、ハクビシンなどによる獣害を防ぐために緑色の網で囲っています。輪作のために来年は防獣網を架ける場所を東西入れ替える可能性があります。



転用申請

2013年6月25日に申請書類が揃ったので農業委員会に提出しました。許可が出るのは最速で7月末の見込みでした。農業委員会に提出した書類は以下の通りです。

  1. 4条許可申請書A
  2. 許可申請書B
  3. 補足説明書
  4. 被害防除計画書
  5. 土地の登記事項全部証明書
  6. 位置図
  7. 字切図(公図)
  8. 案内図
  9. 土地利用計画図(配置図)
  10. 理由書
  11. 残高・資金証明書
  12. 併用地使用承諾(併用地の登記事項全部証明書)
  13. (参考資料として)経済産業省の「設備認定通知書」
  14. (参考資料として)東北電力の「太陽光発電の系統連系技術検討結果」
  15. (参考資料として)東北電力の「太陽光発電設備の系統連系開始について」


パネルとパワコンの発注

転用の手続きに時間をとられていますが、太陽光パネルの発注を遅らせる訳にはいきません。理由はパネルが中国製で円安によって輸入価格が上がるからです。また納期が半年もかかるという情報も流れていました。ループ社では在庫分は従来価格で販売するとのことでしたので転用の進行を待たずにパネルとパワコンを発注しました。

2013年6月15日朝、パネル120枚とパワコンが届きました。パネルは24枚ごとにダンボール箱に収納されています。1箱200キロ程度あります。パワコンは70キロあります。荷下ろししたあとは人力で動かせないので近所のフォークリフトを持っている方に荷下ろしから車庫(この写真の左端に見える)への収納までしてもらいました。

この写真の左側の高台の上に発電設備を設置します。車のクレーンの右側に見える電柱が発電設備と接続する単相200ボルト送電経路の柱です。



パネル取付け実験

2本の単管に3枚のパネルを取り付けますので、12箇所の固定点があります。そのために2本の単管の間の平行性とパネルの穴加工位置精度が不十分な場合には3枚のパネル全部は取り付けられなくなったり、無理矢理取り付けてパネルに歪を与える可能性があります。これは1本の単管で回転させる場合よりも難しい条件になります。単管の間隔を40センチ、傾斜を30度と想定する場合には上段の単管と下段の単管を載せる梁の高低差が20センチになります。この梁の高低差を精密に調整する必要があります。高い位置の(北側の)パネルを優先的に固定し、パネルの穴に合うように低い位置の(南側の)単管を水平に移動させることで3枚全部を取り付けてから低い単管を梁に固定しました。

また、一人で安全にパネルを単管に取り付けることができるかどうかを確認する必要があります。「模擬パネル取り付け実験」の方法を修正した方法で(下段パネルの先に滑り落ちることを止める紐を取り付ける方法で)、架台に取り付ける時に2本の単管にパネルを置いて手を離しても滑り落ちずに、空いた両手でパネルを単管に固定する作業を進めることができるとを確認しておくべきです。

6月29日、架台の東側で、この取付け方法を確認するための取付け実験を行いました。左の写真は3枚目を取り付けるために紐をかけてコンクリートブロックの錘を垂らした状態を写しています。ブロックは地上すれすれですが空中にぶら下がっていて紐には必要な張力がかかっています。単管が多いくてどの単管に紐を回すべきか読み取りにくいので、パネルを2枚取り付けた状態を撮影しました。これからどの単管に紐を回したかを読み取ることができます。高い単管よりも北側にある単管に2本の紐を縛り、高い単管の上、低い単管の下を通り、南隣の高い単管の上を通ってコンクリートブロックの錘に縛りつけます。紐はパネルを固定しても挟まれないので解けば簡単に抜き出せます。パネルを外す時にも同じ位置に紐を張ります。



紐の上にパネルを載せました。この写真で上側の単管が高い単管、下側が低い単管、高低差は20センチで、パネルの傾斜は30度となります。パネルは単管の上で安定しています。これで両手が空いてこの写真を撮っています。左側のパネルはU字ボルトで固定されていますが、右側のパネルを殆ど動かさずにU字ボルトを差し込むことができる位置にあることを示しています。

単管を跨ぐようにしてU字ボルトをパネルの穴に差し込むと、ボルトのねじ山の摩擦のためにU字ボルトから手を離してもボルトは落ちてきません。ワッシャーをボルトにかぶせてナットを取り付ける作業に両手を動員することができます。

ここで困難に出会いました。2本の単管の内側のボルトにナットを付ける事は簡単ですが、外側のボルトにナットをつけるときに外側から指を入れる隙間が不十分です。単管とパネルフレームの長辺底面との隙間は1センチしかなく、親指を含む2本の指をボルト先端まで入れることはできません。単管とパネル下面との隙間から人差し指と中指を同時に入れることはできますが、ナットをボルト先端まで運んで回し始める作業が非常に難しいのです。

U字ボルトを奥まで入れずにボルトの頭がパネルフレームに開けた穴の面と一致する程度まで抜くとナットを所定の位置に置くことができて、回し始めることができます。写真の左のパネルはこのようにして固定できました。

パネル底面に開ける穴を3センチずつ内側にずれた位置に開けなおし、指を入れる空間を広げると作業能率が向上しました。

2本の単管の間隔を40センチから34センチにすれば取付けが非常に簡単になるという貴重な成果を挙げて実験を終了しました。これ以後、パネルにボルト穴をあける作業に入りました。

宅地部分でのパワコン設置等

東側の宅地部分は転用の対象外なのでパネルやパワーコンディショナーを設置できることになりました。架台の北東の角に5メートル単管を地上4メートル以上残すように3本立てました。2本は系統連係のための電柱です。もう1本はパワコン設置のためです。

電柱付近を写しました。木製の板には電力量計などの計器を配置します。透明の防腐スプレイをかけておきました。6月23日に近所の方に手伝ってもらってパワーコンディショナーを架台内側で地上1メートル以上の高さで単管パイプに固定しました。この施設の建設で一人でできなかった唯一の作業です。

6月27日に電気工事店が計器盤に送電メーターとスイッチ箱を取り付け、パワーコンディショナーと接続し、さらに接地棒を埋めました。



7月2日に東北電力側の工事店がバケット車を動員して道路向かいの電柱とこちら側の電柱との間の配線をしました。これによってパワーコンディショナーが系統と連結されました。この柱は5メートル単管を2本まとめて地上4メートル以上残るように立てれば基準を満たすことを電気工事店から聞いて、経費節約のために私が立てたものです。M電様、ありがとうございました。6月11日撮影の写真ではケーブルの重さで柱が引かれるのに耐えるために2メートル単管の筋交いをつけていました。朝の時間帯に単管の影がパネルにできることを避けるために細い針金に替えてもらいました。この写真ではかすかに針金が見えます。

7月4日、パワーコンディショナーが交流100ボルトの電力供給を受け始めました。これは「定額電灯」(50 VA)契約ですので受電メーターはありません。



7月9日、農業委員会の現地視察がありました。この時、この設備が「建築物」に該当するかどうかを聞きました。「屋根と壁がないので建築物ではない」とのことでした。

7月12日、配線ケーブルとコネクターを発注しました。この時点で太陽光発電施設の地積更正測量を除く総工費が300万円を超えました。

7月16日、パネルにU字ボルト用の穴を空ける作業を終了しました。1枚のパネルに直径6.5ミリの穴を8箇所ずつ開けますので、全体で960箇所になります。直接6.5ミリのドリル刃で穴加工すると精度が出ないので、細いドリルで小さい穴を開け、3〜4段階でドリル刃を6.5ミリまで太くしていくので3000回以上の穴加工をしたことになります。パネルの角に当てると穴位置が決まるような治具をボール紙で作り、作業能率を向上させました。


パネル取付け作業を加速するための「4連パネル仮置き紐」

「パネル取付け実験」では「パネル仮置き紐」は1枚のパネルごとに設置し直す必要がありました。この紐を南北方向に長く延ばし、複数のパネルで共通に使えるようにすれば、設定しなおす回数を減らせます。


南端でコンクリートブロックを台の上に置いてブロックの穴に紐を通してその両端を図のように単管に沿って北側に張り、外側の単管に縛ります。その後、ブロックを載せた台を外して図のようにぶら下げます。このブロックの重みで適正な張力が紐にかかります。この紐があることによって、赤色で表示したパネルを2本の単管に置いたときに滑り落ちることなく、単管の上で安定します。両手が空くのでU字ボルトでパネルを単管に固定する作業を一人でじっくり進めることができます。固定しないまま2枚以上のパネルを載せることなく、1枚ずつパネルを固定して次のパネルを単管パイプの上に載せます。4枚固定してから紐を抜き取ります。

7月14日、図のように紐を張ってパネルを載せてU字ボルトで仮留めしてみました。最も神経を使ったのは脚立を登りながらパネルを単管や紐の隙間をぶつけないように定位置まで運ぶ作業でした。仮置き紐で滑り止めをした単管に載せた後は両手が空くので、じっくりU字ボルトでパネルを単管に留めていきます。写真手前のパネルはU字ボルトで単管に固定されていますが、向こう側のパネルは単管に載っているだけです。



パネル1枚ずつ70メートル離れた車庫から現場まで運び、4枚のパネルをU字ボルトで単管に留めるのに要した時間は2〜3時間でした。写真は7月23日の状態です。宅地部分全てにパネルを置きました。枚数は120枚中の48枚です。まだ位置決めは行っていませんのでパネルが不揃いです。

パネルを仮留めできることはパネル固定に2本の単管を使う場合の大きな利点になります。1本の単管に固定する標準的なソーラーシェアリング発電所では傾斜角も含めて最終位置に固定する必要がありますが、2本単管方式では位置決めは後回しにできます。



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